ネタバレあり シン・エヴァンゲリオン劇場版感想

ゲンドウの回想シーンに新しさを感じた。そのシーン以前はなんか悪くはないけどいまいちぐっと超えてこないなあ、と思ったが、そこのシーンは居住まいを正した。それ以降映画の流れにひっかかりがなくなった気がする。シンジ君は父親の中に自分の弱さと似たようなものをみて、やることがはっきりした感じだった。庵野も歳を取ったんだなとしみじみ思った(ゴジラの時も庵野監督にしみじみ思った。やればできるじゃんか...って)。

おもえば自分も社会人になるまえ、家族の中である問題が起きて、それに対処できずうろたえる父親を見た。父親はバリバリのサラリーマンで、夜も遅くまで働くなかなかの大企業の重役だったんだが、家族の出来事の前でボロボロに情けなくなっていった。時期的にクズな自分が社会に出ておろおろしながら働き始めたのはそれからだ。映画になぞらえて考えると、その後にいまの嫁さんと出会い結婚して子をなしたというのは、そういう流れから連なったものだという解釈もできなくはない。

さて、人にどうだった?と聞かれたときになんと答えるかを考えてみる。前回のラストから 20 年近く経っているわけでしょう。作っている人々も歳を重ねたという感じがすごくでてた。よかったんじゃないかと思う。ただ映画としてはまあ、なんでもありの世界が加速していたので、普通の映画によくある「これどうすんのさ?こっからどうなるわけ?」みたいなワクワク感が少なく、「この映画に流れる時間がよい」という感じもなかった。まあそういうところにおさまるよなあ、という感じだったんだが、別にくさす必要もなく、時節柄、なんだか卒業式みたいだったな、と思った。

そんなことよりも、自分は甘ったれた息子が2人いるわけで、成長を促すにはゲンドウ先生みたいなそれ違うんじゃないのという困難なことに取り組むもボロボロになり負けるという過程を見せなきゃいけないのかなあ...と思うと、げっそりする。穏やかに生きていきたいのだが...

ごっつい2号機と8号機のプラモが出たら買います(ぜんぜんさよならできてない)。