風景

駅前にはスマホポケモンを集めている人たちがたくさんいた。樹液にあつまる昆虫を思わせる。僕は本屋で鬼滅の刃とアクタージュと 100 分 de 名著の純粋理性批判を買って家路についた。昆虫と人間の違いについて誰かが何かを書いていた気がしたけれど思い出せなかった。

鍵屋だか靴屋が店を閉めたという張り紙に気がついた。閉まったあとにその存在に気がつくなんて。

コロナ前によく行っていたラーメン屋は営業していたが、お昼時なのにお客さんがいないように見えた。店長が描いたらしき冷やし中華の油絵がまた見たいと思う。

自転車に乗った親子が通り過ぎる。男の子がマスクを忘れたと大きな声をあげている。母親は面倒臭そうに自転車を止め、とってくるように促している。男の子は走ってどこかに行ってしまった。緊急事態宣言の解除からどれくらいたったかわからないけれど、TV やネットではなくリアルに生の気の緩みを見てしまった。

帰宅して、そのままにしていた昼飯の食器を洗って、片付けて、昼寝した。